Marie『今日の自分を肯定する箇条書き手帳術』

以前バレットジャーナルに関する本を読んだが、その著者による新刊。

incubator.hatenablog.com

なお「バレットジャーナル」は、いわゆる手帳管理の方法論である。元々は箇条書きでシンプルにやるという考え方だが、なぜかインスタ映え的な観点で流行している。他人の手帳を見る趣味はわたしには全然ないが、マスキングテープやイラストが満載で、確かにインスタ映えがする気もする。

incubator.hatenablog.com

話を戻そう。著者は色々なデジタルツールやアナログフォーマットを駆使していて、この人は根本的に、文字を書いたり転記したりするのが好きなんだと思う。転記するのが好きと言われてもピンと来ない人が多いかもしれないが、要するに同じものをビジュアル化したり綺麗に書き換えたりする人は「転記するのが好き」な人だと思う。授業のノートを綺麗に取ったり、あるいは再度綺麗に作ったりみたいな。

わたしは学生時代の授業ノートなんてゴミクズだったし、そもそも今でもノートを取る暇があったら講義してくれよと思っているタチだ。自分でノートを取るという勉強法は「やりたい人」だけがやれば良いのであって、ケータイのカメラで写すか、教科書・参考書を直接使うか、まとめた資料を配付してくれたら良いだろうと。

話を戻そう。わたしはもっとシンプルというか、素朴な運用をしている。

わたしはまずカレンダーにMTGや移動時間を入れる。これは本質的には「開始と終了の時間が決まっているタスク」で、外せないから所与のものとして受け入れる。MTGや移動時間以外でも開始・終了の時間が決まっているものはカレンダーに入れる。ランチ休憩(正確にはわたしはランチの時間は不規則なのだが一般的にはという意味)、ゴミ出し、通院、ちょっとした買い物、飲み会などが該当するだろう。半月ごとの勤怠の提出といった、締切だけが決まっているものも、場合によっては開始・終了の時間を決めてブロックしてしまう。また、原則として部下の仕事のレビューは前日までに入れてもらうようお願いをしているし、上司への報告なども前日までに入れている。

そうすると、始業と終業の時間から、MTGや移動時間などの「開始と終了の時間が決まっているタスク」と休憩時間を除いた時間が、その日、実質的に動ける時間になる。日によって違うが、例えば5時間……これがいわゆる「空き時間」であり、仮にAとする。

次にわたしは、「開始と終了の時間を決めていないタスク」を全て書き出している。議事録のレビュー、MTGプランの検討、MTG資料の作成、提案書の作成、データ分析、英語の勉強などなど。これがBだ。わたしはこれをタスクリストと呼んでいる。

Bは本当に色々なことがあり、Aの時間内ではゼッタイに終わらないから、Bの中から今日やるべきことを抽出し、緊急度別・重要度別で上から並べている。これがCだ。わたしはこれをデイリータスクリストと呼んでいる。

そしてわたしはA(空き時間)で、C(デイリータスクリスト)を上から順番にこなす。そしてCが全部終わるか、気力体力が尽きた時点で今日の仕事を終えて、タスクリストの潰し込みを行う。そして翌朝また、タスクリストを素にデイリータスクリストを作って上から順番にこなす――まさしくこんな運用をしている。

昔は、あらゆるToDoをカレンダーと紐づけて仕事をするような方法論も試したが、これだと常に何かに追い立てられる感覚を強く感じてストレスが溜まるのと、変化に弱い。わたしのアプローチも、もちろん急ぎの依頼が来ればデイリータスクリストに割り込みが入るし、MTGが差し込まれることもある。しかしわたしのアプローチは柔軟だと思う。空き時間の算出と、その中で今日やるべきことを洗い出して上からやっているだけだからだ。

もう少し細かい話をすると、人間の頭は本質的にシングルタスクで、マルチタスクには対応できないというのがわたしの信条なので、複数の仕事を回すときにはそれを意識してマルチタスクをこなさねばならない。やり方は簡単で、誰かに依頼するものを早めに持ってくるということだ。そしてこなしてもらった依頼を回収・確認する時間を、CではなくAに入れてしまう。部下が早くこなそうが、わたしのやることは常にたくさんあるので、こちらの決めた時間に上げてくれればそれで良いのだ。逆にこちらの決めた時間に上げてくれないのであれば、数時間ずらして対応する。

文字にすると長いが、要するに「カレンダー」と「タスクリスト」と「デイリータスクリスト」を組み合わせているだけで、超シンプルである。

この手のノート術というのは、こだわってやっている人にとっては「普通」「やりやすい」のだろうが、我々にとっては大変なことが多い。結局は自分なりに工夫するしかないのだと思う。