マッスルグリルという2人組のYouTuberが出した料理本。
書名に書かれていないが、この人たちがブレイクしたのは「沼」「マグマ」「セメント」という炊飯器料理だ。
YouTubeでググったら本人の解説も他人の解説も多くヒットするため、沼が何かという解説自体は割愛する。
見た目があまり綺麗ではないため「沼」と呼ばれているが、味は味付け次第なので、旨く作れば旨い。
いずれにせよ、わたしが思う「沼」「マグマ」「セメント」のポイントは3つである：
- 炊飯器に、1日分の食材を全て放り込んで調理をして、それだけを食べることで、1日のカロリー計算がしやすい
- 一般の炊飯よりも水をかなり多めにすることで、おかゆ状になってカサが増し、満腹感が得やすい
- 炊飯器に放り込んで調理するだけで鶏むね肉の塊もホロホロになるし、大粒の野菜も崩れ、あまり料理の手間がかからない
特に重要なのは1と2で、彼らの料理の根源を理解しようとすれば自分で食材の重さを測ってカロリー計算をすることは必須だし、その根源を理解すれば自分の摂取したいカロリーの範囲内で中の米や具材の量を好きにいじれば良いので、究極的には本書（彼らのレシピ集）は不要だと言える。まあファングッズである。
極論？ いや極論ではないと思う。また、これは決して否定的なニュアンスではない。むしろファンになる価値のある考え方だと思う。本書には炊飯器料理ではないレシピも載っているが、これも根底にあるのは1日分のPFCバランスをしっかり計算して、美味しい食べ物をリーズナブルな量で食べましょうという話だ。毎食分のカロリーやPFCバランスを全て計算するのは大変だが、1日分の料理を全て作ってしまう「沼」は、相対的に食材もシンプルになり、計算が楽だ。
さて、わたしは彼らの考え方をベースに、勝手にアレンジして炊飯器料理をしているが、内容はこんな感じだ。
- ロウカット玄米 150g
- キヌア 100g
- むね肉（皮なし） 400g
- ミックスベジタブル（とうもろこし・グリンピース・にんじん） 500g
- 鶏ガラスープの素 大さじ3（9g）
これで1763kcal、P：132.2g（35%）、F：19.7（5%）、C：226.3g（60%）になる。Pはタンパク質、Fは脂質、Cは糖質ね。なお、食物繊維は34.3g、塩分相当量12.1gになるから、塩分がちょっと多い。これは鶏ガラスープの素を大さじ3杯ほど入れているからで、2杯や2.5杯にすればもっと塩分は減るが、その分、物足りなくなる。この炊飯器料理で重要なのは、1日分のカロリーを計算しているわけだから、これ以外のものを食べてはならぬという話である。他のものを食べると、当然ながらカロリーが加算される。
わたしは白飯は美味しすぎておかずを食べたくなる上、さらに白飯もかき込みたくなり、食欲が爆発するため、自宅で炊飯する場合はロウカット玄米を使うようにしている。ロウカット玄米もかなり旨いのだが、白飯に比べると食欲を抑えられるし、若干ボソボソしてよく噛む必要があるし、食物繊維も豊富なので、まあ良いかなと。加えて、わたしは以前からロウカット玄米をベースに、もち米、押麦、キヌア、アマランサス、グリンピース、とうもろこしなどの雑穀を気分で入れている。この辺は主食と言いつつ白米ほど糖質の割合が高くない、つまり色々な栄養素を含んでいるし、食感の違いがあってこれらを混ぜると面白くて食べ飽きない。グリンピースなどは嫌いな野菜の上位にランクインするらしいが、わたしは昔から好物である。豆なので穀物であると同時に、野菜としても栄養豊富だ。
でもこれは完成形というわけではない。わたしのようなファットな人間は、まあ低脂質で良いのかもしれないが、一般的にはもう少し脂質は取った方が良いだろう。けどここにごま油やMCTオイルを入れるとカロリーが跳ね上がる。カロリー、PFCバランス、塩分、旨味、脂味、作りやすさ、食べ応え、飽きなさ……奥は深い。炊飯器料理は一品で他におかずもないため、あまり薄味だと海苔やふりかけがないと食べられなくなってしまう。それはそれで食べる量を減らせて良いと思うかもしれないが、これは1日に1食＋おやつとか2食でバカ食いするのを止め、食べるべきカロリーを決まった時間にしっかり食べる練習でもある。よって、作ったものはしっかり食べ切らねばならない。逆に、美味しすぎるとバカ食いしてしまい、夕食が物足りなくなる。更に言うと、味があまりに物足りないと刑務所の食事のようになり、どうしても他に菓子やアイスを食べたくなる。美味しいなぁという幸せを感じつつも、わたしのような食欲の権化のような人間でも腹8分目で終えられねばならない。また毎日レシピを変えるのは面倒なので、同じレシピを毎日食べても飽きない味や構成でなくてはならない……色々と面倒なんですよ、ええ。繰り返すが、まだ完成ではない。
