井上智洋『メタバースと経済の未来』

正直、メタバースに過剰な期待があると思う。

メタバースなんて25年以上前からあった。わたしが数ヶ月間めちゃくちゃハマったウルティマ・オンラインというMMO(大規模オンラインRPG)なんかは、メタバースの典型だ。ゲーム内通貨にとどまらず、ゲームを有利に進めるためにリアルマネーによるトレードが横行した。当時は糞行為としか思わなかったが、よく考えるとこれはメタバースがやりたいことそのもの、ないしその一部であろう。本人たちが納得して、ゲーム内コンテンツにカネを払うことで人生そのものが充実したと思えるなら、それは良いことかもしれないのだ。

まあ当時から一周回ってまたメタバースが注目されているが、改めて、どうなんだろうなあ。

メタバースという言葉を聞かない日はないぐらいに着目されているが、メタバースで何ができるか、メタバースで何が変わるか、未だにはっきりとはイメージできていないし、それを魅力的に語れている人やサービスに落とし込めている人はいない。

メタバース空間でアバターに服を着せたり、メタバース空間で服を買ったりと、正直、馬鹿なんじゃないかと思う。オンラインショップで十分だろうと思う。けれども、自分と同じ体型をしたアバターに服を着せることで、よりリアルなショッピングができるとか、そういうことなのかなあ。