清武英利『トッカイ 不良債権特別回収部』

「整理回収機構」という存在を、わたしは何となく知っている。

わたしは1978年生まれで現在45歳だが、わたしより10歳下(35歳)の人間は、もう知らないかもしれない。

25歳だとほぼ知らないだろう。

住専と呼ばれた住宅金融専門会社7社は、バブル崩壊により6兆4,000億円に上る巨額の損失を負い、政府は6,850億円の公的資金投入を決める。しかし、これが世論の強烈な反発を招く。そして自民党・橋本龍太郎政権は「住宅金融債権管理機構」を設立し、住専各社から譲渡された不良債権を、できる限り回収しようとする――と、こういう話なのだが、「バブルの後始末」と書くと簡単なのだが、ここにはとんでもない人と金で動いており、血みどろという言葉ですら言い表せないものがある。土地の値段という、あってないようなものに日本全体が踊らされまくったわけで、本書にも「狂乱の時代」という表現があったが、まさにその通りだと思う。

しかしこれ、WOWOWでドラマ化されてそうだなぁと思ったら、実際ドラマ化されていた。

これ観たいなぁ。本よりドラマの方が合ってる。

清武英利は、WOWOWでドラマ化されそうな題材を探して書くのがめちゃくちゃ巧い。