『石つぶて ~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~』@Prime Video

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全8話。

清武英利原作のノンフィクション小説をWOWOW連続ドラマWとしてテレビドラマ化した『しんがり ~山一證券 最後の聖戦~』が硬派でかなり面白かったので、やはり清武英利原作のノンフィクション小説をWOWOW連続ドラマWとしてテレビドラマ化した本作も楽しめるだろうとして手に取った次第。

2001年に実際に起きた「外務省機密費流用事件」を捜査した警視庁捜査二課の刑事たちを描くノンフィクションだが、これまためちゃくちゃ面白い。

個人的に面白いなと思ったのは、正義感溢れる熱血漢の刑事vs巨悪という単純な二項対立ではないということだ。

捜査二課が扱うのは「サンズイ」と呼ばれる贈収賄等の汚職の他、横領や背任、詐欺や選挙違反などの経済犯罪であるが、捜査二課がそもそも一枚岩ではない。古いタイプの捜査員は、保秘を徹底するあまり、同僚や上司にも何を捜査しているか決して明らかにしない。では明らかにすれば良いかと言うと、同僚に手柄を横取りされたり、同僚に手柄を上げるための乱暴な捜査を逆手に取られて失脚させられたりする。また、圧力がかかって捜査がストップするのも日常茶飯事で、圧力に屈しないためには確固たる証拠を集めるしかなく、やはり古いタイプの捜査員は保秘を徹底するのである。

証拠を掴んだ後も、この手の経済犯罪はやはり最後は自白がものを言うので、古いタイプの捜査員ほど密室で相当な圧力をかけ、暴力も振るう。自白させるためだ。主人公格の一人である江口洋介は、取り調べの可視化を盛んに訴えるが、まるで響かない。そらそうだ、古いタイプの捜査員ほどそういう働き方を全然していないし、密室で捜査し、密室で自白させることが正義なのだ。

また、捜査二課の人々の巨悪にかける執念も、これは一体何だろうと思えてくる。単なる正義感や、仕事への責任感ではない気もする。鬼気迫るものがある。その辺の業のようなものを、佐藤浩市の演技は見せてくれる。

この手の硬派な社会派ドラマが好きな方には大推薦したい。

なお『しんがり ~山一證券 最後の聖戦~』とキャストまで被っている。これは何だろう、原作者の意向なのか、社会派ドラマなので実績のある演者で固めたいという局側や監督の意向なのか。