笠原真樹『夢なし先生の進路指導』2巻

夢に憧れる生徒を、教師によるゲンジツテキな指導で我に返らせるというコンセプトというか設定の漫画。

1巻は短めの小気味良い感じのエピソードだったが、2巻はメンズアイドルという長編。

これがもう痛々しくて、ウシジマくんかよってレベルの展開。

そもそもアイドルって何なんだという話があるが、吉田豪だったか誰かがアイドルを「人気が実力を上回っている状態」を定義していて、それがわたしの中では凄くしっくり来ている。つまりファンが演者を支えることで、実力以上の売上や、実力以上のハコでのライブ、実力以上のドラマ出演などを果たすという構図だ。そんなもんだろう/いやそうではないと思われるかもしれないが、冷静に考えると、通常の俳優や歌手では(多少はアイドル要素もあれど)ベクトルが逆になる。つまりその売上やハコに相応しい実力があるから皆がワーキャー言って買うという当たり前の構図なのである。

もちろん今の日本のアイドルは違う。人気と実力が伴っていないから、ジャニーズ枠みたいなものが出てくるわけだ。

こう考えると、昔のアイドルは、歌がくっそ下手な人も多かった。そこら辺のカラオケで歌う男女の方が巧いとかね。

一方、この手の「買い支え」には、買う側が夢を見なければならないから、処女性みたいなものもついて回る。付き合っちゃ駄目みたいなね。

この10倍以上語れるし語りたいのだが、ひとまず本作に話を戻すと、この地下アイドルというのは、非常に罪深い仕事だなと思った。

推し活だの何だのと言っているが、要するに、ホストと同じである。演者を実力以上に持ち上げるための仕掛けがあり、その仕掛けに乗らせるための色恋営業がある。本来、CDなんて1枚買えば良いし、握手だってファンサービスでやる程度のものなのに、握手券、チェキ券などというものが存在すること自体、運営も揃って糞だということだ。

好きなら良い?

好きでやっているんだから放っとけ?

まーそうかもね。わたしはその人たちを救うべきというほどの善性はない。ないけど、醜いと思う。これは美意識の問題なのである。