KAKERU『科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日記』7巻、『ふかふかダンジョン攻略記』3巻、KAKERU+瀬口たかひろ『織津江大志の異世界クリ娘サバイバル日誌』1巻

『科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日記』から見た『織津江大志の異世界クリ娘サバイバル日誌』は、スピンオフである。それはわかりやすい。では『科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日記』から見た『ふかふかダンジョン攻略記』は一体何なんだろうか。ただの別作品? そうではないような気がする。細かい設定は違うにせよ、明らかに同じ世界観、同じアプローチの作品だ。作者が作品を通して言いたいことは大きく2つだと思う。

ひとつは、弓矢・鎧・水車などといった古代から中世に培われたものは、一見科学的・合理的に作られたようには見えなくても、実際には途方も無いトライ・アンド・エラーという科学的・合理的なプロセスを踏んできた技術体系であり、今の技術(例:物理エンジン)で検証すると実に理に適ったものだ。だから決して馬鹿にしたものではないということ。これは技術体系だけでなく、生活様式や思考特性も同じである。単に古い劣ったものではなく、実はそれなりに合理性があるものであるという点。

もうひとつは、ファンタジーと言えども魔物の生体構造は理に適っているべきだということ。

この2点について、物理エンジンを使って検証したり、あらん限りの妄想をしたりして、その結果を漫画という形で具体化しているのが作者なのだと思う。検証結果や妄想を形にして皆に提示し、Twitterやら何やらでフィードバックがもらえるのだから、作者は楽しくて仕方ないだろうな。

わたしも読んでいて楽しいので、作者には是非このまま突っ走ってほしい。