長尾剛『日本がわかる思想入門』

「ヨーロッパ哲学だけが人類の思想・哲学のすべてではない」という考えから、古代から中世・近世・近代の日本独自の思想を紹介している本。紹介というか、羅列してるだけに思えるので、あまり面白くはなかった。ただ、武士道の変遷や禅宗の紹介は個人的に熱意を持って読めた。

あと、以前から気になっていた西田幾多郎の項も、かなり興味深く読ませてもらった。西田幾多郎は近代哲学の主観と客観の関係――それは前提と呼んでも良い――に疑問を感じ、禅宗の「悟り」を参考に主観と客観の区別のない「純粋経験」という概念を生み出したんだそうだ。日本発の世界的なレヴェルの哲学者だし、やはり興味はある。