中山元『新しい戦争? 9.11テロ事件と思想』

9.11のアメリカの同時多発テロ以降、中山元は翻訳家の力量を如何なく発揮し、積極的に世界の哲学者や思想家・小説家などのテロに対する発言を翻訳して、メールマガジンで配信してくれていた。今回、そうした海外のテロに対する発言が、中山元のスタンスも明らかにしつつ1冊の本としてまとめられている。

インターネットを駆使する中山元の本領発揮というべきか、インターネットのリソースが豊富に紹介されていて、本書とメールマガジンを併用すれば、9.11テロ事件がどのような意味を持っているのか、そして9.11テロ事件をどのように哲学者や思想家・小説家・マスコミなどは捉えていったのかということが、自分なりに整理しやすくなるだろう。

また今回の9.11テロ事件に限らず、思想は現実にどうコミットし得るのか、どうコミットしていくべきなのかといった問題が、本書によって実に示唆的に描かれているのではないかと俺は感じた。読みやすく値段も安い(1000円)なので、かなりオススメ。必読。