重松清『お父さんエラい!』

お父さんエラい!

お父さんエラい!

単身赴任者20人(あるいは残された家族)を追いかけたルポルタージュ。今の自分の(何の愛着もない)東京での一人暮らしが、「大阪から東京への単身赴任」といったイメージと重なり、単身赴任者の様々な悲喜こもごもの描写を非常に感慨深く読んだ。
ただ、より面白かったのは、単身赴任に悲壮感を漂わせず、自然体で受け入れ、楽しんでいる話だろうか。1人も弁護士のいない稚内に単身赴任した弁護士、東京都青ヶ島村という離れ小島に教育長として単身赴任した女性、新婚ホヤホヤなのに希望して南極に単身赴任した鳶職人、といった回が特に面白かった。
とりあえず、相変わらず文章はあざといほどに巧い。重松清に関しては以前から注目していたものの、あまりまとめて読む機会は今までなかった。しかし今後は著書を少しまとめて読んでみようと思う。