新井英樹『シュガー』7巻

シュガー 7 (アッパーズKC)

シュガー 7 (アッパーズKC)

リン・中尾の天才コンビは「ジム荒らし」まで行い、圧倒的な才能をボクシング界に知らしめる。そのために相手探しに難航したデビュー戦も決まるが、相手はヘボ。まさに前途洋々である。しかしデビュー戦で、集中力を欠くリンは、会場に現れた母親の姿によそ見をしてしまい、何と「4秒」という世界最短KO記録で負けてしまう。
ブラックアウト(映像のない状態で意識を丸ごと刈り取られる)状態を体験したリンは、今も今後も、倒された映像も認識も蘇ることはなく、まさにトラウマを植え付けられる。圧倒的な技能と才能を持っているにもかかわらず、リンは恥ずかしさと恐怖でボクシングに正面から向き合えなくなる。このあたりは初めて主人公に感情移入できるシーンかもしれない。