日垣隆『知的ストレッチ入門』

知的ストレッチ入門―すいすい読める書けるアイデアが出る

知的ストレッチ入門―すいすい読める書けるアイデアが出る

『そして殺人者は野に放たれる』やサイエンス・サイトークで圧倒的に俺の心を射止めたライターによる著書。論理的思考や知的生活のノウハウ本というのは以前から多く発売されているが、あまり参考になったことは無い。ただ本書には参考になるネタもけっこうあった。特に参考になったのは、ツールのセレクトについて。俺は文具などツール類のマニアではないが、「何でも良い」と言うほどこだわりがないわけではない。探すのが面倒くさいだけで、良いものは積極的に使いたいと思っている。例えば、付箋をどう選ぶかという考え方は非常に参考になったし、手帳については速攻で本書の薦める製品(高橋書店のリフィル3)を購入したが、確かに良さそうだ。
本棚(書棚)についても賛同する意見が多い。著者の「売られている本棚の奥行きが深すぎる」という意見には大賛成。日本で売られている本の99%は15センチ以下だから、大半の本棚が採用している35cmや45cmの奥行きだと本棚のスペースが余り、二重に本を入れてしまいがちだ。しかし本棚に入れときながら奥に収納した本の背表紙が見えないと言うのは、もう犯罪的に非効率である。実際、俺が今メインで持っている本棚は、奥行き15cmほどの白色の金属製ラックが4本だ。
あと俺は、本棚に扉がついていてほしい。といっても、よくあるガラス扉ではダメだ。それでは中が見えてしまうし、コストが上がる。俺が扉を付けたい理由は、埃を防ぎたいためではなく、本を見せたくないからである。別に怪しげな本がたっぷりあるからというわけではなく、専門書からコミックまでジャンル的にも本のサイズ的にも幅が広すぎて、どう並べても雑然とした印象が部屋全体に漂ってしまうからである。基本的にはシンプルな扉で構わないが、もしもフラップ型の扉にすると、デザインの良い本や特殊な形の本を「見せる」ことで有効的に収納することも可能だ。また本棚自体を部屋に溶け込ませたいという俺の考えからすると、扉やフラップを除けば、本棚自体のデザインはシンプルで良い。色も白とか。白なら、スタイリッシュな印象の部屋にも柔らかい色調の部屋にも合う。
さらに言うと、本棚はもう少し高さがあった方が良いね。160cmとか180cmとか、わざわざ天井近くのスペースを無駄にしている本棚やラックが多い。本書によると、平均的日本人が(背伸びせず)楽に本を見たり取り出したりできる高さは215cmらしいが、確かに俺も「そんなもんだろう」と思う。しかし215cmの本棚なんて、家に入れるのも組み立てるのも大変だし、引っ越しなんてもっと大変だ。そこで俺は、90cm〜100cmほどの本棚を重ねられたら良いなあ、というアイデアを持っている。
結局、俺の理想の本棚は本書を読む前も読んだ後も変わることなく、「奥行き15cm〜20cm」「扉付きのシンプルな形」「できれば高さ100cm前後で、簡単にスタッキングできる」といったところになるだろうか。あまり高くても嫌だから、100cmの本棚を上下に重ねて(つまり200cmで)2万円くらいが良い。そんな本棚ないかなあ……と気の向いたときに通販サイトなどを検索しているが、薄型の本棚だけど扉が無かったり、フラップ付きだけど奥行きが40cmもあったり、どうも思ったようなものが無い。次に引っ越す時までには良い本棚を見つけたい。