SFマガジン編集部『SFが読みたい!2001年版』

SFが読みたい!〈2001年版〉発表!ベストSF2000 国内篇・海外篇

SFが読みたい!〈2001年版〉発表!ベストSF2000 国内篇・海外篇

SFマガジン編集部によるブックガイド。1999/11-2000/10の新作SFのベスト・バイを紹介している。30歳になったら古典と海外文学とSFを読んでみようと漠然と考えていたこともあり、手始めに本シリーズを全てチェックしようと考え、図書館で2001年度版から2008年度版まで全て借りてきた。しかし一口に「SF」と言っても物凄い量の本が刊行されており、本書で紹介されている本を読むだけで10年くらいかかりそうだな、というのが正直な感想。
まあ備忘録として、面白そうだった未読の本を順不同で羅列しておく。ほとんど知らない本ばかりだったので、本当に面白い本を見逃している可能性もあるが、それはまあ仕方あるまい。

永遠の森  博物館惑星 (ハヤカワ文庫JA) 菅浩江『永遠の森』
八月の博物館 瀬名秀明『八月の博物館』
ピニェルの振り子―銀河博物誌〈1〉 (ソノラマ文庫) 野尻抱介『ピニェルの振り子』

たまたま「博物館」をテーマというかモチーフとした作品が3つランクインされており、気になったのでピックアップ。博物館や図書館といった過去の営為が静謐に収められている場所は、ファンタジックなイメージとノスタルジックなイメージが並存しており、案外SFと相性が良いのかもしれない。

日本SF論争史 巽孝之『日本SF論争史』
思考する物語―SFの原理・歴史・主題 (Key library) 森下一仁『思考する物語 SFの原理・歴史・主題』

SF批評から2冊。巽孝之はSF批評家なのだが、この人の書いた『メタファーはなぜ殺される』の文章は妙に格好良かったなあ。

レキオス (角川文庫) 池上永一『レキオス』
猫の地球儀 焔の章 (電撃文庫) 猫の地球儀〈その2〉幽の章 (電撃文庫) 秋山瑞人猫の地球儀
西城秀樹のおかげです (ハヤカワ文庫 JA) 森奈津子西城秀樹のおかげです』
山尾悠子作品集成 山尾悠子山尾悠子作品集成』

池上永一『レキオス』は、マジック・リアリズムという表現技法で書かれているらしいが、もう「マジック・リアリズム」という言葉だけで読みたい。秋山瑞人猫の地球儀』は、地球の衛星軌道を回る巨大ステーションで知性を獲得した猫が人間の残したテクノロジーを使って暮らすという設定らしい。もう設定だけで読みたい。森奈津子西城秀樹のおかげです』に至っては、もうタイトルだけで読みたい。そんなんで良いのか俺。
なお山尾悠子山尾悠子作品集成』のことは全く知らないのだが、上記でも取り上げた巽孝之が「いま彼女を回避すること自体が文学的怠慢である」とまで書いているので、それならば読んでみたいなとピックアップ。本来的にはSFというよりも幻想文学の書き手らしい。幻想文学と言えば俺の敬愛する荒俣宏であるからして、これはやはり読んでおかなくてはなるまい。

ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) ダン・シモンズハイペリオン
ハイペリオンの没落〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) ハイペリオンの没落〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) ダン・シモンズハイペリオンの没落』
エンディミオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) エンディミオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) ダン・シモンズエンディミオン
エンディミオンの覚醒〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) エンディミオンの覚醒〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) ダン・シモンズエンディミオンの覚醒』

ハイペリオンシリーズは俺でも名前くらいは知っている超有名SFだが、実は二部作でなく四部作だったんだな。文庫本だと全部で8冊の大長編だが、機会を作って通して読んでみたい。

エイダ (ハヤカワ文庫 JA (599)) 山田正紀『エイダ』
バベルの薫り〈上〉 (ハヤカワ文庫JA) バベルの薫り〈下〉 (ハヤカワ文庫JA) 野阿梓『バベルの薫り』
パプリカ (新潮文庫) 筒井康隆『パプリカ』
アド・バード (集英社文庫) 椎名誠『アド・バード』
夢の樹が接げたなら (ハヤカワ文庫JA) 森岡浩之『夢の樹が接げたなら』

本書では、90年代に出版されたSFのベスト・バイも紹介しているので、こちらからも備忘録的にピックアップしてみたい。国内SFからは5作品。椎名誠『アド・バード』ってそんなにSFとして評価が高かったのか。椎名誠がSF作家であることは知っていたが、旅行好きなエッセイストのイメージが強すぎて、今まで読もうとしてこなかったな。

火星夜想曲 (ハヤカワ文庫SF) イアン・マクドナルド『火星夜想曲
アヌビスの門〈上〉 (ハヤカワ文庫FT) アヌビスの門〈下〉 (ハヤカワ文庫FT) ティム・パワーズ『アヌビスの門』
故郷から10000光年 (ハヤカワ文庫SF) ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『故郷から10000光年』
タウ・ゼロ (創元SF文庫) ポール・アンダースン『タウ・ゼロ』
ディファレンス・エンジン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) ディファレンス・エンジン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) ウィリアム・ギブスンブルース・スターリングディファレンス・エンジン
時間衝突 (創元推理文庫) バリントン・J・ベイリー『時間衝突』
宇宙消失 (創元SF文庫) グレッグ・イーガン『宇宙消失』
順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) 順列都市〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) グレッグ・イーガン順列都市
シェイヨルという名の星 (ハヤカワ文庫SF―人類補完機構シリーズ) コードウェイナー・スミス『シェイヨルという名の星』
タイム・シップ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) タイム・シップ〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) スティーブン・バクスター『タイム・シップ』

こっちは90年代の海外SFベスト30から。世界中の10年間のSFのベスト30となると、さすがにどれもこれも紹介文を読むだけで衝動的にAmazonで買ってしまいそうなものばかりだ。とりあえず10作品だけピックアップ。グレッグ・イーガンは『祈りの海』だけ読んだことがあるのだが、荒唐無稽な話というよりはテクノロジーを素材にアイデンティティを問う話だったという印象が強い。なお、スティーブン・バクスター『タイム・シップ』は、H・G・ウェルズ『タイム・マシン』の続編らしい。なぜ他人が続編を書いているのかよくわからないが、一種のオマージュなのかな。ウェルズの名作と合わせて読んでみたい。
さて、今日ピックアップしたこれらの本のうち何冊読めるだろうか……?