瀬野反人『ヘテロゲニア リンギスティコ 〜異種族言語学入門〜』5巻

魔界にフィールドワークに行き、言語どころか思考概念も違う様々な伝説上の生き物と触れ合ったりする漫画。

そもそも言葉の概念を人類の言葉に翻訳することができなかったり、体の構造上、理解できても適切に発声できなかったり、思考概念自体がなくて相手のことがよく理解できないままだったりと、非常にリアル。他にも、音や動き、色、模様などで言語的なコミュニケーションを取っている生物なんかもいたりして、なんかもうすごくワクワクする。人類でも、例えば「挨拶」のない民族や「謝罪」や「ありがとう」のない民族がいたりする。で、そういう概念を持たず成人した人たちに、この概念を教えるのはかなり難しいのではないかという気もする(そもそも「教える」という言葉自体が上から目線だが)。

こういうコミュニケーションというものの本質的な難しさや、暗黙的な前提の存在を露わにする漫画である。