呉智英『読書家の新技術』

読書家の新技術 (朝日文庫)

読書家の新技術 (朝日文庫)

先日、小谷野敦の『このミステリーがひどい!』を読んだあと、もう15年近く前に読んだ『バカのための読書術』も読み、当該書で本書が散々登場してきたので、気になって購入した次第。できれば電子書籍で読みたかったのだが、単行本が1982年、本書(朝日文庫版)が1987年というから、この手の本としては相当古く、電子書籍のニーズもなかったのだろうな。
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ブックガイドの有効性は「半々」というところで、今となっては重鎮どころか鬼籍に入ったような方が若手扱いされているなど、正直古さを感じたが、一方でわたしが全く知らない本も多数紹介されており、改めて買う本はほとんどないかもしれないが、それでも面白かった。

もう一点、本の選び方や読み方といったテクニックについて、これの有効性もやはり「半々」だろう。本の選び方や読み方は非常に参考になることも多く、特に「難解本を無理に読まない」「入門書や基礎文献をあまりトロトロ読まない(一定以上のスピードで読む)」あたりの心得はわたし自身の考え方と非常に似ている。しかしながらウェブやPCが発達した今となっては、読書カードをチマチマ手書きで書く、新聞の書評欄を活用する、古本屋に通い詰めて店主と仲良くなる、といった発想自体があまり役に立たなくなっているかなと思った。