安宅和人『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』

ざっくり整理すると、前半は日本はいかに駄目であるかをデータを示して突きつけるパート。そして「いやいや日本にも希望はあるよ」と示してからの、後半はこうやって再生して人を育てると良いよというパート。

全体として、すごく気合をいれて書いていると思うし、それに刺激も受ける。

しかし長すぎない?

この半分とか3分の1で書いてほしいと正直思った。

あと、年齢は関係なく人を雇うべきとか書いておきながら、その後は平気で「年寄りは坂本龍馬を目指さず若者を支えれば良い」と書く、その論理矛盾が凄く気になった。わたしは一貫して、つまり10代の頃から、若手だからとチヤホヤしたり過小評価したり、一方年寄りだからと無条件に敬ったり排斥するような流れが大嫌いだった。それは今も変わらない。体力の差はあれど、本人がビジネスシーンから引退すると考えるまでは同列に扱うべきだ。若手はより長く経験を積めるから可能性があるとか言うが、そんなものは嘘だ。若手のときの表層的なノウハウは数十年単位で見たら結局役に立たないことは、今の年寄りが証明している。だから年寄りは老害とか言われるわけである。しかし「成長し続ける」というマインドセットを持った人間は若手にも年寄りにもそれほど多くなく、そういう人間は本人が引退を自覚するまでバリバリに働いてもらえばいいし、その人達が主人公で良いのだと思う。若手がキラキラしているから主人公に据えるなんて愚策の極みだ。