著者は識学という方法論の第一人者であり、また識学という組織コンサルティング会社の社長である。著者の方法論はかなりの中小企業で実績を出しているそうだが、著者は、リーダーは「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」の5つだけにフォーカスしてマネジメントすべきであり、カリスマ性も人間的魅力も不要だと説く。
ポイント1 「ルール」
→ 場の空気ではなく、言語化されたルールをつくる
ポイント2 「位置」
→ 対等ではなく、上下の立場からコミュニケーションする
ポイント3 「利益」
→ 人間的な魅力ではなく、利益の有無で人を動かす
ポイント4 「結果」
→ プロセスを評価するのではなく、結果だけを見る
ポイント5 「成長」
→ 目の前の結果ではなく、未来の成長を選ぶ
個人的には、蒙を啓かれた思いがする。
わたしはモチベーションだの成長だの1on1だのといった本を何冊も読み、また実践してきたが、心の底ではザラついた思いが消えることはなかった。そもそも、わたしは社会人として誰かに育てられたと思っていないからである。尊敬すべき先輩はいるし、世話にもなったと思っているが、別に何かを教えられたわけではない。必要だと思ったとき、必要だと思った人から勝手にプレイスタイルを盗んだだけである。
もちろん、上司として当然の品質管理の一環としてレビューを受け、そのレビューの指摘や議論から様々なことを得た。しかし個別の業務知識やノウハウを教わったことはないし、誰かにくどくど「社会人とは」「コンサルタントとは」と言われたところで、そうした精神論で自分が成長したと思ったこともない。
本書は、率先垂範型でもサーバント型でもないリーダーシップの姿を、構造化・言語化・洗練化された方法論として整理してくれており、極めて参考になった。