BPOビジネス研究会『限界からのBPO戦略 人・プロセス・情報を最適化し、見えないコストに光を当てる』

NTTデータの人たち、特に主任とか課長代理の方々が書いている。社内勉強会の成果をまとめたということなのだろうか? 序章のタイトルが 「分業」と「BPO」 となっているなど、本質論から入るのは物凄く好きなので、かなり期待して買ったのだが、残念ながら分業論自体はあまり深堀りされていない。しかしBPOに取り組もうと思うと「暗黙知」を「形式知化」しないと外部に委託できないため、(逆説的に)「BPOが形式知化の原動力となる」という指摘は、わたしの問題意識とも合致しており、思わず頷いてしまった。

具体的な方法論は正直乏しいものの、モデルケースがあり、これはまあ頭の体操には良い。やっぱりケース1とケース3かな。

【ケース1】人件費を抑制しながら作業品質を上げるには?
      ――業務の分割とオフショアの活用
【ケース2】データを整理して、企業戦略に生かすには?
      ――クレンジングによってデータを「武器」にする
【ケース3】新規の業務を効率よくアウトソーシングするには?
      ――「丸投げ」によるトータルな業務設計
【ケース4】現場に活用してもらえるシステムを構築するには?
      ――データの収集、製品マスタ整備業務の一元化
【ケース5】人員配置を換えて人件費を下げるには?
      ――配置ロスの原因を探り、解決法を案出
【ケース6】作業効率と作業品質を両立させるには?
      ――ソリューションを活用し人員配置を最適化
【ケース7】本社と支社の間に生じたギャップを埋めるには?
      ――「現場」の意見を反映したルールづくり
【ケース8】システム間に生じたギャップを埋めるには?
      ――データ加工によるトラブル回避

なお本書のラストでは「KPO(ナレッジ・プロセス・アウトソーシング)」が提唱されているが、これはもうコンセプトとしてはありふれている。2011年の発売なので、2011年時点では新しかったのかもしれない。