杉浦次郎+うめ丸『ニセモノの錬金術師』1〜2巻

『僕の妻は感情がない』などを描いている杉浦次郎が、「漫画を描く仕事」の気晴らしに漫画を描いてそれを無料で公開。わたしも読んだのだが、かなりラフな絵柄――というか、ネームに毛が生えた程度の書き込みであるにも関わらず、もうとにかく掛け値なしに面白かった。それもあってネットではかなり話題に。

それが数年前か。

incubator.hatenablog.com

で、うめ丸という作画をつけてリライトして商業出版したと。

上記の杉浦次郎の絵は、雑というかラフではあったものの、独特の魅力や色気があった。したがって本作(リライト版)の連載開始時や1巻発売時は「ラフ版の方が良い」だの「魅力が失われた」だのといった予想通りのコメントが多発し、わたしとしては書き手が可哀想だなと薄ぼんやり思っていた。

わたしの考えを明確にしておくと、このリライト版は今のところ大成功だと思う。

まず第一に、わたしが思ったのは、日本橋ヨヲコの傑作『G戦場ヘヴンズドア』の一幕だ。

そもそもの世界観やストーリーがおもくそ面白いんだから、作画に集中すれば良い。その結果、仮に杉浦治郎にしか出せない絵柄の魅力が喪われたとしても、安心して失敗すれば良いと思う。その分、解像度は上がったし、うめ丸にしか出せない魅力もある。ヒロインやサブキャラがキュートなのも良い。

続きが楽しみすぎるので、どんどん猛スピードで描いてほしい。