村上春樹『村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた』

これまた好きな本。村上春樹は引っ越し魔で、国内外を問わず頻繁に住居を変えているのだが、これはアメリカのケンブリッジに住んだ93年から95年にかけての滞在記である。時期的には、ブリンストンに住んでいた頃の話を書いた『やがて哀しき外国語』の続編に当たるのだが、『やがて哀しき外国語』よりも本書は些細で日常的な話が多い。しかしながら、たとえちょっとした出来事や些細なコダワリであっても、それらは本書の中で、とてもリアルな表情を持っている。