昨日と同様、cinemaタグ(映画館で観た映画用)作成に伴い、2017年に観た映画の感想を掲載。
本作は事務所トラブルを起こした「能年玲奈」こと「のん」が主人公の声を当てている。そのため、作品が不自然なほどにマスコミで扱われておらず、そのことが逆にインターネットメディアや個人ブログで注目を集めるという、幸か不幸かよくわからない推移を辿っている作品だ。わたしはこうの史代の原作も愛読しており、観たいなと思っていたので、暇だった元旦に視聴。
感想としては、原作の雰囲気を上手く映像化しているなーというものである。説明臭さを極力排した控え目な心理描写、良いことも悪いことも少しずつぼやけながら過ぎ去っていく日々、(コテコテのギャグや玄人じみた笑いではなく)普通の人が普通に笑ってしまう(あるいは微笑んでしまう)日常のワンシーン……これらは全て原作が持つ稀有な特長だ。原作から削られたエピソードやシーンはどうしてもあるけれど、映画オリジナルのエピソードやシーンはほとんどなく、しかも描写上の工夫(絵に描いた兎が空を駆けるシーンなど)も素晴らしい。いわゆる原作厨が不満を持つことは少ないだろう。
なお遊郭で会ったリンという女性にまつわるエピソードは大幅にカットされているが、個人的にはあまり気にならなかった。原作厨は気にするかもね。