- 作者: 庵野拓将
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版
- 発売日: 2019/03/28
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
筋トレ好きな人はじっくり読むと良いと思う。
わたしは超初心者だが、気になったのは以下。思い出しながら書いているので正確な表現ではない。
- 1レップ当たりの重量ではなく、セット数やトレーニング頻度等を勘案した、1週間当たりの負荷で、筋力向上や筋肥大は決まるというのが最新の学説である。(要するに、軽い重量でも完全燃焼するまで追い込めば筋力向上も筋肥大も発生する)
- 運動直後にプロテインを飲むこと(いわゆるゴールデンタイム)よりも、運動後24時間、きちんとタンパク質を摂取することのほうが重要である。
- 筋トレに対して、明らかに安全で効果のある強力なエビデンスを示すサプリメントは、実は現状それほど多くない。プロテイン、クレアチン、カフェイン、ベータアラニンは有効。HMBは初心者に限り有効。
- 全卵や牛乳の栄養素は素晴らしいので積極的に摂取した方が良い。
きちんとしたエビデンスがあると、自分の実感と仮に合わなくても「(更なる研究で今後変わる可能性があるけれども)少なくとも現状のエビデンスではそうなんだな」と素直に受け入れられるので、余計な逡巡がなくて良い。
余談(マシュマロ・テスト、イフゼン・プランニング)
その他、マシュマロ・テストと呼ばれる実験もなかなか気を引いた。
マシュマロ・テストとは、子供の前にマシュマロを置き、「戻るまでの15分間を我慢できたらもう1個あげる、でも食べたらもう1個はなし」と宣言して、その子供はマシュマロを食べるか、それとも我慢できるか、というテストである。実験の結果、全体の3分の2は我慢できずに食べ、残りの3分の1は我慢できたというものだ。
つまり人間の意志力には幼少時から差があるということがわかったのだが、この実験には続きがあり、マシュマロ・テストを受けた子供を32歳まで追跡調査しているのである。その結果、マシュマロを我慢できた(意志力が強い)子供ほど健康的で、経済的に豊かで、犯罪の関与がない、という傾向が出たのである(当然マシュマロを我慢できなかった子供はその逆の傾向になる)。人生を上手く運ぶために意志の力は重要で、かつ本質的に我慢強いかどうかはそんなに簡単には変えられないということなのだとわたしは理解した。
ただ、マシュマロを我慢できた子供は、我慢するための「ある特徴」があったという。それは、マシュマロを気にしないよう、その子供なりに工夫して「他のことに注意を向けていた」ということである。パントマイムをする子供、音を鳴らさずハンドベルを持ち上げることに集中する子供、壁を叩いて音に意識を集中する子供など色々いたそうだが、我慢できなかった子供はじーっとマシュマロを見つめ続け、我慢できずに食べてしまったそうだ。この辺は、非常に示唆的で、要するに意志力そのものは人により差があるものの、意志力を消耗させないような工夫は可能であるということだ。
ここから、「イフ・ゼン実行プラン」というものが考え出されたそうである。これは「もし〜したら、そのときには〜」とルールを予め決めておくことで、意志力の弱さを克服しようというものだ。そんな単純なと思われるかもしれないが、実際このルールを決めることによる効果があることは、実験でも証明されている。
なお、イフゼン・プランニングは以前どこかの本でも読んだことがあるなと思って検索したら、出て来た。記録に残しておくとやはり便利だ。