- “極私的” 年間ベスト 荒俣宏「シム・フースイ」シリーズ
- アイデンティティは単なる「自分らしさ」ではなく他者・社会との関係性が重要
- 「サイエンス・サイトーク」シリーズ
- 「食」から世界の有り様を見てみたいという欲求に応える
- その他
“極私的” 年間ベスト 荒俣宏「シム・フースイ」シリーズ
荒俣宏による傑作小説。の5冊で構成されており、とにかく面白い。
荒俣宏『シム・フースイVersion1.0 ワタシ no イエ』
荒俣宏『シム・フースイVersion2.0 二色人の夜』
荒俣宏『シム・フースイVersion3.0 新宿チャンスン』
荒俣宏『シム・フースイVersion4.0 闇吹く夏』
荒俣宏『シム・フースイVersion5.0 絶の島事件』
アイデンティティは単なる「自分らしさ」ではなく他者・社会との関係性が重要
自己と他者の関係性について誠実に考えるための補助線として。4冊とも平易な言葉で深いところまで思考を支援してくれる。
中島梓『コミュニケーション不全症候群』
NHK「14歳・心の風景」プロジェクト(編集)『14歳・心の風景――1900人のアンケートから「居場所」を求めてゆれる子どもたちの心の闇を探る』
鑢幹八郎『アイデンティティの心理学』
浅羽通明『天使の王国 平成の精神史的起源』
「サイエンス・サイトーク」シリーズ
日垣隆によるラジオ番組を書籍化した「サイエンス・サイトーク」シリーズの第2弾と第3弾。2000年に読んだ第1弾と合わせ、3冊セットで必読。
日垣隆『サイエンス・サイトーク ウソの科学 騙しの技術』
日垣隆『サイエンス・サイトーク いのちを守る安全学』
参考(2000年読了):日垣隆『サイエンス・サイトーク 愛は科学で解けるのか』
「食」から世界の有り様を見てみたいという欲求に応える
「食べるという行為」の業を、虚飾を排して我々に突きつける。
辺見庸『もの食う人びと』
松本仁一『アフリカで寝る』
松本仁一『アフリカを食べる』
その他
浅田彰『「歴史の終わり」を超えて』
フランシス・フクヤマ『歴史の終わり』を基にした対談集。浅田彰でなければ実現できないような思想界のビッグ・ネームがずらりと並んだ対談集となっており、読みやすいけれど深い内容を議論している。
村上春樹+柴田元幸『翻訳夜話』
小説家としてだけでなく翻訳家としても高い評価を得ている村上春樹と柴田元幸による対談集。非常に刺激を受ける。
坪倉優介『ぼくらはみんな生きている』
事故による記憶喪失で、食べることや寝ること、トイレに行くことを忘れ、言葉を忘れ、お母さんという概念を忘れ、性格すら変わってしまった著者による壮絶なノンフィクション。「ここはどこ?わたしはだれ?」「思い出そうとすると頭が割れるように痛い……!」というお決まりの展開は、ここにはない。しかし何となく軽さがあるのは、書名の通り「生きている」こと自体に著者が前向きさを感じているからだろう。