インキュベ日記

書評3200冊・漫画評6000冊・DVD評600枚の「質より量」な記録サイト(稀に質も重視)

『大河ドラマ 秀吉』

最近長編ドラマを一気に見るのにハマっているので、これも探したところ、DVD-BOXが全13枚で出ていたのでゲット。

竹中直人主演の大河ドラマ。調べたら1996年だな。わたしは大河ドラマをあまり観ていないのだが、これは例外的に、毎週欠かさず観ていたな。

しかし竹中直人のこの演技、凄いなあ。平均視聴率30.5%、最高視聴率37.4%というとんでもない視聴率を叩き出しているのだが、いや実際問題これ面白すぎるでしょう。竹中直人が唾を撒き散らしながら騒ぎ立てる様が、とにかく「秀吉!」って感じがする。農民上がりというかね。

田素弘『紛争でしたら八田まで』1巻

紛争でしたら八田まで(1) (モーニング KC)

紛争でしたら八田まで(1) (モーニング KC)

  • 作者:田 素弘
  • 発売日: 2020/03/23
  • メディア: コミック
主人公は「地政学リスクコンサルタント」という謎の職業を名乗る若い日本人女性。

いや、今「謎の」と書いたけどわたしは職業柄ちょっとだけわかるんだけどね。リスクコンサルタントと呼ばれる生き物は、ものすごーく乱暴に分けると、大体3種類ぐらいに大別されるような気がする。一つ目が、金融工学や管理会計の知識を活用した金融リスク・ファイナンスリスクの専門家。二つ目が、情報セキュリティや内部統制に係る専門家。ハッカーの不正侵入に対処したり(サイバーリスクと言う)メールの解析したり(フォレンジックと言う)とかも広い意味ではこの人たちである。そして3つ目は、いわゆるインテリジェンスと呼ばれる分野で、地政学リスクの調査だの紛争解決だの犯罪対策だの企業の不正調査に係るスパイ活動だのみたいなことをやったりする専門家。マネーロンダリング対策とかは今AMLと呼ばれて2つ目と3つ目の中間みたいな領域だし、細かく言い出すとキリがない上、乱暴すぎて専門家に怒られそうだけど、まあ大体こんな感じの人たちがいますと。

で、主人公は完全に3つ目の領域の専門家である。体を張って、現地で紛争解決や、紛争まで行かずとも荒事対応なんかをやったりする。

まああんまり難しいことを考えずとも、要は若くて尖った女性版の『MASTERキートン』とか『パイナップルARMY』みたいな作品が読めると思ったら良いかもしれない。

個人的には大好物のジャンルで、ぜひ長く描き続けてもらいたい。

野田サトル『ゴールデンカムイ』21巻

20巻でなかなか劇的な再開を果たしたが、21巻はちょっと箸休めというか小休止というか。

ストーリー自体は展開しているのだが、主人公とアシリパが噛み合っていない。主人公とアシリパは長らく顔を合わせていなかったから。

今後に向けて、お互いの認識を合わせていく過程というのも必要だろう。

皆川亮二『海王ダンテ』1〜9巻

皆川亮二の大航海ロマン巨編って感じ。

巨大な図鑑よりも更に2回りぐらいデカい不思議な「本」が主役。主人公は、この世のあらゆる理を示した謎の本「要素エレメント」を、主人公の幼馴染(仲は悪い)は思い描くどんな物でも設計できる謎の本「構成ビルド」を、幼馴染の兄(幼馴染と仲が悪い)はあらゆる病や傷を癒し死者さえも復活させる謎の本「生命ライフ」を持ち、18世紀を舞台に世界中を冒険している。

本作のゴールは何なのかと問われたら正直よくわからないのだが、まあ面白いしスカッとするからとりあえずもう少し読み続けるかなって感じ。

まあスカッとするという意味では、皆川亮二は既に『ADAMAS』という傑作を生み出しているんだけどね。下を読んでもらえば、それがわかると思う。

incubator.hatenablog.com

山口つばさ『ブルーピリオド』7巻

ごくフツーの特に夢も将来展望もない流され高校生だった主人公が、急に美術に目覚めて東京藝術大学を目指す……というストーリーだったが、6巻で遂に合格! 7巻からは藝大篇に突入! ということでかなり期待していたのだが、うーん、何となく拍子抜けというのが正直なところ。

美大・藝大は2浪・3浪は当たり前で、4浪以上の方も珍しくないと聞く。そこでわたしが何となく思っていたのは、現役合格は必ずしも良いことなのだろうか、ということだ。主人公はやたらと現役合格にこだわっていたし、藝大への現役合格が決まったときは読者として当然ワクワクした。しかし現実として、何年も必死こいてデッサンした経験は必ずチカラとして蓄積され、どこかで役に立つとわたしは思うのである。

主人公はたったの1年間しか絵を書いた経験がない。挫折らしい挫折もしていない。単にどこで挫折の経験を積むかという話なのかもしれないが、力のないまま大学に行ってもついていけないというのは、何も藝大に限った話ではない。一般の学部でもそうだし、部活動でもそうだし、企業でもそうだ。

で、あまりにもわかりやすすぎる形で、壁にブチ当たって独りでメソメソしたりヤル気をなくしたりしている。

この主人公の心の有りように、わたしは感情移入できない。

これはわかっていた話だからである。

現役合格は非常に難しいと同時に、現役合格者は修練の時間が圧倒的に不足している。主人公のように受験1年前から絵を始めましたという人間は尚更だ。

浪人していた予備校の仲間や予備校の先生は、指摘しなかったのだろうか?

物語としては当然このままで終わるはずもなく、どこかで持ち直すのだろうが、あんまり簡単に持ち直されてもピンと来ない。楽しみだが、話の持って行き方は難しくなったなと思った。

『男はつらいよ』HDリマスター版 プレミアム全巻ボックス コンパクト仕様

DVD 53枚セットw

当然わたしの持ち物ではない。

マニアの方がいて、これも保存用と閲覧・普及用に2つ持ってるとかで、貸してもらった。さすがにまだ全部は観れてないが、じわじわ続きを見ることにして、一旦途中だけど感想を。

といっても、正直「寅さんにどっぷりハマってるなー」という感じは全然ない。誤解を恐れず正直に書くと、寅さんは本当に、すんごい駄目人間ではないかと思う。「いつまでも子供」という形容が「実態」ではなく「美化」である、というぐらいには駄目人間だと思う。わたしは、その駄目っぷりを愛するという境地には至れないなと思う。Amazonのレビューを見ると、「人生の師」だの「大切なことの全てがある」だのと、凄い評価の人も多いんだけど、その辺の間隔がわたしにはわからない。わたしは今40歳過ぎで、世間的には紛れもないおっさんだが、わたしよりさらに20歳ぐらいは上じゃないと、寅さんの世界に共感できる人は少数派になるだろうな。

けれど、そうした人間を演じ切った渥美清という俳優は凄いんだろうな。

藤本タツキ『チェンソーマン』6巻

チェンソーマン 6 (ジャンプコミックスDIGITAL)

チェンソーマン 6 (ジャンプコミックスDIGITAL)

色々な点で、ジャンプらしからぬ漫画。

第一に、引き伸ばしがない。超スピーディー。あれっコイツは主役級でしょみたいなのが雑魚キャラのように死ぬ。

第二に、絵柄が粗い。わたし的には大変好みだが、小中学生男子と腐女子がジャンプのメイン顧客層だとすると、マーケ的にはもう少し洗練された方が良いはずだが。

第三に、ややグロい表現もある。

第四に、6巻でも顕著だが、何とも言えないアイロニーがある。腐女子はともかく小中学生男子がなかなか理解できない感情かもしれないが、ここに攻めている。

いやもう最高。

最初に「ジャンプらしからぬ」と書いたが、定期的にこうした作品を世に生み出し、また許容するところは、ジャンプらしい奥深さと言えるかも。